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35歳からのSESについて考える

 以前にYoutubeでアップした動画(デジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業に与太話的に物申す)にコメントをもらいました。



 コメントされた方は、『この事業に参加してSES企業に入り2か月の研修で経歴詐称して客先に派遣されそうになった』ということで、大変憤慨されておられるようです。実は日本の中小のIT会社の多くはSES企業(つまり人売り企業)になります。見分け方の一つになりますが、入社したい会社の会社概要のページに「労働者派遣事業 許可番号 」というものがあればSESもやっている企業になります。もっとも全ての会社がきちんと労働者派遣事業許可番号をとっているか怪しいところもあるのでこの番号がないからといってSESをやっていないとは限らないので注意が必要です。


 SESとは「システムエンジニアリングサービス」の略で、要は派遣なのですが、派遣と言えば場合によっては違法になるので、客先常駐といったりSESといったりしています。私の知る限り少なくとも35年以上前からあり、30年前にはSESという言葉ができていたかと記憶しています。15年程前にはデジタル土方と言われるようになったかと記憶しています。経歴詐称も昔からあり、業務経歴書を見ながら面談をして『これは嘘だな』と思ったこともありました。ちなみに、建前上は面談(面接)はご法度ですが、実際にはコメント主のように『未経験者が偽って入ってくる』ということもあるので面談してある程度(実際の実力)を見てフィルターをかけないとお金をドブに捨てることになります。


このSESですが、悪しき習慣といわれていますが、一向になくならないだけでなく、最近では裁判沙汰になったりもしています。求職者の方々はこういうヤバイ会社には引っかからないようにしたいところですが、SESにもメリットというのは存在します。


SESのメリット


  • 顧客:雇用の調整弁になっている。正規や非正規でエンジニアを雇うよりも簡単に首が切れる。
  • SES企業:請負契約でシステムを構築するよりリスクがない。収支が読める。
  • 労働者:未経験者でも就業ができる(経験ができる)。短期かつ残業代がでるのなら正規雇用より儲かる。嫌なら後腐れなく辞めれる。向いている人がいる。

 顧客企業にとっては、非正規社員以上に合法的に労働者の首を切れることになります。あまり具体的なことは言えませんが、長い年月を経て多くの人が職場を去っていった後に、私自身も去ったことがあります(もっともこれは自らになりますので首を切られたというのはちょっと違います)。


本来ソフトウェア開発というのは請負契約で行うものなのですが、これは受注企業にとってはリスクがあります。特に顧客企業にソフトウェア開発の知見が無い場合は案件が赤字で終了する可能性があります。これを避ける為に準委任契約(SES契約)を行い、要は定額料金ではなく労働者が稼働したらその分課金するということを行います。
自ら作ったサービスを売るということもあります。こちらは王道と言えますが、当然にサービスが売れないというリスクがあり、赤字になれば、SES契約でエンジニアを売り、日銭を稼ぐという手段に出ます。
このようにSES契約が全て悪ということもないのですが、一度SES契約の味をしめると企業自体が努力をしなくなります。つまり請負契約で失敗しないように経験を積むとか顧客が求めているサービスをひねり出すという努力をしなくなります。


労働者にとってのメリットは『SESは未経験者の登竜門』ということも言えます。『経歴詐称はどうなるんだ?』と思われるかと思いますが、多くの場合、雇う側も経歴詐称であることを気が付いています。また、経歴書に詐称がなくても実際にプロジェクトに貢献していたかどうかというのもあり、実務的な観点からみると経歴詐称が一概に悪いとも断言できないところもあります。『じゃなぜ経歴詐称をするんだ』と思われるかと思いますが、これは受け入れ側の企業が書類選考をちゃんとしているという安心感を得る為にあります。もちろんですがプロジェクトによっては、経験者が求められていることがあったりするのでその場合に経歴詐称されると労働者があとで困ることになります。


SESのデメリット


もちろんSESのデメリットもあります。


  • 中間搾取、人月商売の横行が横行する
    こういう商習慣(人もモノとして扱う)が蔓延すると業界のレベルアップにならないです。個人のスキルに依存するのでチームとしてやプロジェクトの成長が期待できない。日本のITが伸びない理由の一つになっているかと思う。
  • エンジニアとして現場で使う以外の技術が身につかない
    余暇を利用して新しい技術を吸収する(自己学習ができる人)が求められます。
  • IT土方として雇われてるのでエンジニアの社会常識が育たない
    本人達は社会常識を持っていると思っているようで厄介ですが、ビジネスの話ができない人が多いです。実際にSESエンジニア上がりのある人に仕事の依頼の話をしたら、なぜかこちらが受注者として話が進んことがあり、こっちは発注者として仕事を頼んでいるのだが、なぜこのような勘違いをするのか相手の社会的な常識を疑ってしまった。ちなみに通訳案内士界隈も癖のある人が多いが、それでも友人と呼べる人はいるが、ITエンジニアの友人は残念ながら少ないです。
  • 顧客からのフィードバックが「契約終了」でエンジニアとしての見通しがたてられない
    契約終了に関してエンジニア自身に具体的な原因がある場合、本来ならそのフィードバックがないとエンジニアが育たないが、そういう学習機会がそがれるので成長ができない。また、突然に契約終了となるとある種の失業状態になるので、エンジニアのライフスタイルが見通しにくい、40代ぐらいでSESが終了した場合割と困る。

労働者にとっての最大のデメリットは『SESは人売り』になるということで、これに耐えられない人が一定数います。このような方はSES企業には近づかない方がよいです。


ちなみに、私自身は総合的にはむしろSESで客先に常駐する方が気が楽な面があります。それでも会社として誰かを客先に出すというのはやりたくないです。


アドバイス


最後になりますが、未経験で35歳からIT業界に転職させる方に対してアドバイスするとなると以下の点を考慮されたうえでどうするか考えたほうがよいかと思います。


  • 未経験者がIT業界に入るとSESに捕まる確率が高い。実力がないうちはSESを避けて通るのは厳しい。SESに関しては向いている人と向いていない人がいるので、SESが嫌なら日本のソフトウェア開発会社は避けたほうがよい。
  • 本来、中途採用となると即戦力が求められ、新卒採用とは異なることを理解する。先輩とか上司に頼ることはできないと考えたほうがよい。
  • そもそも、SES企業の先輩とか上司自体がエンジニアとしてもいわゆるメンターとしてもきちんとしているかどうか怪しい。
  • 職場環境やその会社の業界の位置づけ、今やっている仕事等を考慮すると、キャリアアップするには転職が必要となる場合がある。実力が付いたらそれに相応しい会社に転職することも視野に入れる。
  • その職場に居続けるという選択肢もあるが、SES企業の場合、終身雇用との相性が悪い(辞めていく人間が多い)。その会社の規模や将来性、社歴と年齢構成(例えば創業から40年のSES企業で、50代の社員が少なく若い人しかいない会社というのは歳をとったら辞めていくと考えたほうがよい)、等を考慮する必要がある。例えば、今、新卒で入った会社で本当に将来性がないのか?、定年まで働けないかを今一度自問自動したほうがよい。
  • IT業界は『モノづくり』範疇に入るが、モノづくりの難しさ(完成させなければならない)を理解して、自分自身がモノづくりの適性(プログラムが意図どおりに動くと何とも言えない高揚感がある等)があるかどうか見極める。
  • 仕事に対しての困難さをどこかで楽しめるようでないと厳しい。
  • 自己学習を続ける必要がある。平均、一日に2,3時間は勉強時間を確保する必要がある。もちろん仕事が忙しいときは仕事に集中する必要がある。暇なときに勉強ができるかどうかがカギになる。
  • AIの台頭についてアンテナを張る。悲観的な見方をすると将来は開発の仕事はAIにとって代わられる。それが何時かということで他の職種も並行して勉強しなけれならない。

と厳しいことを書いていますが、実際には、きちんとできていないエンジニアが多いのも事実です。また、仕事が好きになれるのなら割と何とかなったりします。(私の場合、コンピュータが動いている様をみるのが好きで、面倒な顧客対応をしてイライラしてたのですが、そのあとコンピュータをいじっていたらやる気が出たりしてました。)


SES契約についてChatGPTで遊んでみました。


追記、少し別の角度ですが、AIによる自己学習の可能性について、プログラミングスクールとの付き合い方という記事にしました。

2025-10-07 | コメント:0件

マルチスレッド&アセンブラプログラミングをしてみる(コラッツ予想のプログラム)

 多コアCPUのコアを使い切るにはどうするか?とここ数年考えていたのですが、そういえばコラッツ予想(3n+1問題)を確認するプログラムはちょうどよい例だと思いプログラムを作成してみました。


CollatzAsmについて


 せっかくなので64ビットアセンブラで作成し、128ビット(2の128乗)までの数を扱えるようにしました。ちなみに64ビットだと入力が数百億程度(35ビット程度)で内部の計算が桁あふれを起こします。
Visual Studio 2022(C++/Asm)で作成しています。ここからプロジェクトファイル一式をダウンロードできます。


 Visual C++ですが32ビットバージョンはインラインアセンブラが使えるので、お手軽にアセンブラを使えたのですが、64ビットになりなぜかインラインアセンブラをサポートしなくなりました。ということで約30年ぶりにアセンブラのソースコードを書きました。
ちなみに、16ビット時代はアセンブラプログラミングの参考書が豊富にあったのですが、64ビットになりあまり見当たらなくなりました。昔はミックスドランゲージといって、Cからアセンブラを呼び出す方法もよく解説をされていたのですが、今では、ここに資料があるくらいで、基本的なことが分かっている人じゃないと意味不明かと思われます。
詳しい解説はご希望があればやりますが、このプロジェクトをサンプルとしてもらえればと思います。


 また、このサンプルはC++14のマルチスレッドのサンプルにもなっています。長い間マルチスレッドプログラムと言えばOSのAPIかランタイム関数を使って作っていたのですが、C++14からプログラミング言語にサポートされたということで作成してみました。


実行例は以下のとおりとなります。



最初の引数で何処までの数を確認するかを入れ、2つ目の数は並列度(スレッド数)になります。
サンプルでは10になっていますが、当然コア数以上の値をいれます。32論理コアに対して100とかにしてもパフォーマンスが上がります(後述)。


CollatzAsmBenchについて


 アセンブラでのプログラミングに限った話ではないのですが、プログラムの最適化の過程で試行錯誤を行うことがあります。特にアセンブラでプログラムすると様々な命令を使うことができるのでそのバリエーションが増えるかと思います。
ということで試行錯誤の記録として10個程アセンブラのコードのパフォーマンスを比較するプログラムを書いてみました
以下、実行結果になります。




ChatGPTの出力コードとの比較


 いわゆるバイブコーディングということで専用のツールも出てきていますが、コラッツ問題を扱うプログラムに関していうと、どこにでもあるのでChatGPTでも簡単なプロンプトでかなりいい感じのコードを出力しています。ということでChatGPTでプログラムを出力させてみました。、実際に試してみたところ可能でしたがあまり速度が変わらなかったので、今回はアセンブラでの出力はしていません。ChatGPTが作成したマルチスレッドのものを掲載します

 私が作ったコードと比較するとマルチスレッドの初期化の取り扱いがうまいです(emplace_backを使っている)。一方で、データ長は64ビット止まりで、並列性も論理コア数に従ってスレッドを作成していますが(hardware_concurrencyメソッドを呼んでコア数を取得している)、このプログラムの場合、各スレッドの実行時間が必ずしも同じではないので、スレッド数をより多くして各スレッドのタスクを細かくした方が、実行時間のばらつきの減少が期待できます。一方で、一般論になるのですが、論理コア数以上のスレッドを実行させると各スレッドがCPUのリソースを食い合いすることになるので、実行スレッド数を論理コア数に合わせるのも一つの手になります。


 今回はアセンブラでは比較をしませんでしたが、CやC++のコードを単純にアセンブラにしてもあまり早くならないということもあります。一方で128ビットのような桁数の多い計算をさせる場合、アセンブラには桁あふれを処理する命令があり、CやC++で組むよりはるかに効率的なプログラムが記述できます。機会があればChatGPTでアセンブラプログラムの最適化を行いたいですが、↑の例にあるようにAIに任せるより、自分で工夫をした方が手っ取り早い面があります。もちろんですがアイデア出しをAIに頼ることもできますので、こういうことではあまりAIと人間の比較は意味がない(人間からしたらAIも利用する)ということになりますが、2025年9月現在、このあたりのチューニングはまだ人間の方に一日の長があるかと思います。(追記)この記事の公開後、1週間でClaudebotと名乗るロボットからZipファイルがダウンロードされたのでひょっとしたらClaudeにコードがパクられるかもしれません。


 最後に実行結果を



ということで、倍以上のパフォーマンスを示しています。逆にいうと倍程度にしかならないのですが、ある処理時間が半分になるということは2020年代のCPUの進化でいうとほぼ10年に相当します(この場合シングルスレッド性能の比較になる)。つまり上手くアセンブラでプログラムを書き直すことができればCPUの進化を10年先取りできるとも言えます。CPUのシングルスレッド性能の向上が顕著だった90年代ですと概ね1,2年でパフォーマンスが倍になっていました。
余談ですが、アセンブラでのプログラミングは8ビットや16ビットの時代は割と一般的でした。90年代以降ではCPU自体の進化が早かった為、アセンブラでのプログラミングがエンコードなど、いわゆるSIMD命令を使うためとか、ニッチになった感がありました。CPUのシングルスレッド性の向上が見込めなくなった昨今、アセンブラでのプログラミングが見直されるかもしれません。
話を戻すと、コラッツ予想の確認プログラムの場合、スレッド数を100にしても性能が伸びていることを確認できます。これは、前述のとおり値により処理ステップにばらつきがあるためで、区間を細かくした方が(スレッド数を多くし多方が)、CPUから見た場合のトータル処理時間が平均化される為です。

2025-09-08 | コメント:0件

マイナ保険証(2025年7月)資格確認証を入手しました

 Youtubeの方ではマイナンバー問題ということでちょいちょい動画をアップいましたが(こちらが再生リストになります)、ここ数か月動画の更新をさぼっていましたが、この度資格確認証を入手しましたのでそれについての記事になります。


資格確認証を取得するメリット(ほぼ今までどおり保険診療が受けられる)


 マイナ保険証については過去にトラブルが発生しその検証・対策もまるで素人がやっているようで(詳しくはマイナンバー問題)、今後もきちんと運用がされるかどうか怪しいところがあります。
こういう状況で安心して保険診療を受けられるようにするには『資格確認証を取得する』ことが選択肢になるでしょう。具体的には、マイナ保険証の利用登録解除(および場合により多少の追加手続き)を行うと「資格確認証」が送られてくるようになります。これは従来の保険証とほぼ同じものであり、今後も従来どおりの保険診療が受けられるようになります。政府は「デジタルだ!」といいながら、不完全な(ベータ版としか言いようのない)システムを導入しているが、そんな不完全なシステムが引き起こすトラブルにいちいち付き合う必要はないでしょう。
ちなみに、2025年7月時点での利用登録解除は数万件程度であり、今の段階では比較的スムースに登録解除ができるようです。今年は私のマイナンバーカードの更新年で、新しいカードを取得するのに2か月半かかったが、利用登録解除はそれよりはるかい迅速に手続きができるようです。一度登録解除を行い、二度と登録しないようにすれば、今までどおり安心して保険診療が受けられるようになります。


マイナ保険証でよいのではないか?


 現在、マイナ保険証を利用しており特段問題がない方はそのまま利用するのも手であります。
もっとも、マイナ保険証を利用するには2つ程注意点があります。
1点目は、マイナ保険証での受付が出来ない場合があるということで政府をそれに対する対応策を示しています。要はマイナ保険証だけでなく「資格情報のお知らせ」を持った方がよいということで、マイナ保険証だけでは窓口でトラブルとなる可能性がある。
2点目は、マイナンバーカード(電子証明書)の有効期限を意識しなければならないことで、5年目(5回目の誕生日)で電子証明書の更新があり、10年目(10回目の誕生日)でマイナンバーカードの更新があります。更新を忘れるとマイナ保険証が使えなくなる。『その場合どうなるか?』ということがあるが、最終的には資格確認証が送られてくることになるが、それなら資格確認証でよいということになる。
もちろん、今後システムの完成度が上がり、マイナンバーカードの更新が習慣化すればマイナ保険証で受診するのが当たり前となるかと思われるが、時間はかかるかと思われる。


マイナ保険証の利用登録解除とそのデメリット


 利用登録解除を行うには、保険者(保険証に記載がある)に連絡することになる。保険者の名称からWEBで検索を行ってホームページから『利用登録解除』の方法を調べることになる。国民健康保険・後期高齢者医療保険は市町村に問い合わせることになる。サラリーマン等のいわゆる厚生年金加入者は健康保険組合と呼ばれる団体に問い合わせることになる。
サラリーマンの方が利用登録解除を行い、資格確認証を取得しようとすると、場合によっては資格確認証が会社に送られてくるかもしれない。多くの中小企業が入っている全国健康保険協会(いわゆる協会けんぽ)の東京支部の場合は、会社に送られてきた。また全国健康保険協会は会社に対して従業員に『マイナ保険証を使うように』と通知を行っており会社員の方にとってはプレッシャーとなるかもしれない。その他、確定申告時に医療費控除を受ける際に領収書を集めておかなければならないとか一定の不便さがある(このあたりは従来どおりと言えば従来どおりである)ので今一度、マイナ保険証のメリットを再確認して、メリットが失われた場合に本当に困らないかどうか、念の為、確認する必要があるでしょう。


2025-08-03 | コメント:0件

PHPのバージョンアップの激しさに閉口する


Wordpressのお知らせで、わざわざPHPのサポート終了について知らせてくれるのだが、Rocky Linux9(要はRHEL9)の場合、PHP 8.0系でも2032年までサポートするらしい。というこで気にはなるが今のところは放置でよい。
もっとも、過去にWordpressがPHP5系のサポートを止めて7系に強制アップデートしたときがありその場合(Centos5か7)の時はPHPのバージョンを気にしないとダメだったので面倒だった。
プログラミング言語のサポート期間が4年とか5年というのは、短すぎると思うのだが、如何でしょうか?

2025-07-14 | コメント:0件

「エンジニアってなんか性格悪い人多くね?」で与太話

Youtubeネタです。


エンジニアってなんか性格悪い人多くね? という記事をみまして、エンジニアとして正論を言うときの注意事項、そもそも営業に仕様を任せることについて、さらに新人教育について与太話します。


2025-03-31 | コメント:0件
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