保守の台頭と、通訳案内士として戦争責任をどう説明するか?

今年(2025年)の夏は参議院選挙があり、いわゆる保守系の政党が躍進しました。
私自身はいわゆる中道の人間と自負していますが、改めて結果をみると右寄りの人が多いことに驚きました。
もちろん、右左は考え方の違いなので結局、国が良くなればどちらでもよいかと思うのですが、今年の夏は幾つか気になる言動があり危機感を持った次第です。


 例えば、この記事『石破首相は“醜く奇妙な生き物”?「誹謗中傷」にスカッとする人が盲信する“美しさ”の正体』のように過激なことをいう保守党の新人議員がいます。ちなみに私は恥ずかしながらこの方に投票しまして、早くも後悔をしています。どうもこの方は安倍元首相をひいきにしていて、石破首相については安倍さんと対立していたこともあり、基本的に嫌っているようで、石破さんを左翼と主張しています。


まぁ、これなら国内の話なので考え方の違いだとすればよいのですが、最近、日本人ファーストということで、外国人に対する排斥運動、特に中国に対して分断をあおるような主張が目立ちます。
ちなみに南京事件(南京大虐殺)は無かったとか、保守党が発表した戦後80年の談話に、『戦争の「罪」は償ったと言えるでしょう。少なくとも、今を生きる日本人がその罪を背負う必要はありません。』ということを言っております。


 前置きが長くなりましたが、いち通訳案内士として戦争責任についてどのように海外の方に説明するのか?を紹介したいと思います。
(注、これはあくまでも一人の通訳案内士の見解であり、これが正解という話ではございません)


戦争については積極的には触れない


 まず、通訳案内士として外国人のお客さんと接するときに、太平洋戦争についてはわざわざ触れるようなことはしません。そもそも、日本に来る外国人の方は、当然、日本好きでありわざわざネガティブな話を聞く用意がありません。敢えて触れないことが肝要かと思っています。


避けられない場合


 通訳案内士としては、政府見解は大変ありがたいと思いますので参考にしています。
 例えば、広島を観光する場合、原爆ドームやら平和記念公園を案内しなければならない場合があります。この場合、政府見解を参考にして、『日本は悪い国だった。それで戦争があり、広島では原爆が落とされた。』という感じで説明します。
ここでもあまり詳細は話しないようにします。あくまでも『日本は悪かった』、『戦争は人を不幸にする』、『戦争被害者としての広島』という説明をしてあとは資料館に任せます。ちなみに通訳案内士を『民間外交官』という人がいますが、特にこういう説明を求められた場合、民間外交官ならもっときちんとした説明を求められる場合がありえますが、そもそも私のスタンスとして民間外交官という考えは持っていないので、ガイド業務として自分の主張を含めて詳細は話しません。


もっと詳細な話を求められたときは


 もっと詳細な話を求められたときは、当時の状況や現在の日本人として戦争はどう思うか等の話をするかと思います。
 例えば、『窮鼠猫を噛むではないが資源がないところで禁輸で追い詰められたので一発逆転を狙った。』とか、『現在の日本は武装解除している。ある意味アメリカの支配下にあり軍事的な能力は限定されているので、現在は戦争をやろうという発想は日本人からは出てこないのではないか?』とか『日本人は一度決めたことを方向修正することができないので当時は軍事的な拡大路線を貫いて結局、止めることができなかった。』ような話をします。悩ましいですが相手によっては『自虐史観についてはそろそろ止めたいという人もいます。』という話をするかもしれません。そのほか、相手の国により反省のトーンをかえますが、中国人、韓国人、欧米人の方と突っ込んだ話をするときはアイムソーリーというのははじめに入れるかと思います。


終わりに


 2024年のインバウンドの消費額が8兆円を超えたらしいです。これはかつての電化製品の輸出額に匹敵するということで、インバウンドが現在の日本経済を支えていると言っても過言ではないです。民泊やオーバーツーリズムの問題がありますが、重要な産業であることは間違いがないです。
保守系の方は中国に対して敵愾心をもっているようですが、残念ながら日本のプレゼンスは中国より下になりつつあります。海外旅行をすれば、『Japan as No.1』というのが懐かしいぐらいどこでも中国人がいて日本人と合うことが少なくなってきました。40年前の日本は確かに世界に誇れるような国でしたが、残念ならが今はそうではないです。それは中国のせいではなく。日本自体が自沈したからではないでしょうかね?

2025-08-24 | コメント:0件

コメントをどうぞ


『不適切なコメントへの対応』を一読下さい。
現在コメントは承認制となっております。

Previous Page | Next Page