自動詞と他動詞を考え直す

珍しくの連続の投稿になりますが、下記の記事ですが調べごとのついでに見つけたものです。

ここがヘンだよ、EXILE その1

この記事によるとwishは他動詞だから必ず目的語を必要とする。タイトルのI Wish For youのwishは目的語が無い。従って、この英語は間違いである。という3段論法である。

実はJ-POPの英語の歌詞に対しての批判の論拠の1つに、『他動詞だから~』があるのだが、この他動詞・自動詞というの考え直してみよう。ということです。

ちなみに、私は中学・高校の英語から離れて大分経つので以下の説明は学校で習う英語と違う場合があるので、中高生の方には以下の理解はお勧めしません。あくまでも実務的に英語を使う場合に自動詞・他動詞をどう理解すればよいかという話をします。

自動詞とは目的語を取らない動詞です。

I went.

他動詞とは目的語を取る動詞です。

I have a pen.

He gave me chocolate. 彼は私にチョコレートをくれた

ここでいう a pen とか me, chocolateが目的語になります。ちなみに目的語が2つの文はなじみがないかもしれませんが、『彼が私にチョコレートをくれた』、『彼が私にチョコレートを買ってくれた(He bought me chocolate.)』等、結構使える構文だと理解できます。

というわけで、英語の場合、文には目的語が0,1,2個の場合があるということです。そしてその個数は動詞によって決まるということです。
さて、ここまで説明しますと、『wishは他動詞だから目的語を取らないとダメ』という話になりそうですが、もう少し話ますと、

他動詞であり自動詞でもある動詞がある。wishはその一例。ということになります。つまり、

I wish

I wish 目的語

両方OKです。つまり文法上はI wish for youはOKとなります。ここまで話すと"for you"の解釈が必要となりそうですが、これは動詞wishを修飾するもの(この場合、副詞句)になります。この辺りは機会があればお話ししたいと思います(これはこれで厄介なものになります)。

以下、整理しますと英語の文法(平叙文)は、

主語 動詞 目的語1 目的語2

となり、目的語の数は動詞によって異なります。が、動詞が決まれば数が決まる訳でもないということです。そして、もちろん使う動詞と文脈によりますが、目的語は省略できることが多いということを知っておくと英語を学ぶ上で少し気が楽になります。

さらに、場合によりますが主語も省略可能です。動詞に関しては省略できないのか?という話がありますが、ややこしいのでこの議論は止めておいた方がよいです。結論としては文の骨格を決めるのに動詞が関わっているということになります。

話が逸れたので戻りますと、文法上、自動詞と他動詞を区別する意味はあまりないということなり、ましてや『他動詞だから目的語が必ず必要』という議論は多くの場合文法上は無意味です。
ちなみに、私のお気に入りの英英辞典(http://www.dictionary.com/)では、自動詞、他動詞という区分ではなく、with object / without objectという扱いになっています。
ここのwith objectが他動詞、without objectが自動詞になります。そして辞書を引けば多くの動詞は自動詞であり他動詞であることもわかるでしょう。ちなみにテストでは必ず目的語を取る動詞とか、一見他動詞に見える自動詞(ある意味例外の動詞)が出題されます。つまり動詞を覚える時はこの辺りのバリエーションを覚える必要があり、マメに辞書を引くことが大事ということになります。

この項の最後になりますが、リンク先の記事では"I wish for you."の使用例は無いと豪語されていましたが、I wish for you lyricsのキーワードで検索すれば、I wish for youというタイトルを持った曲がごろごろ釣れます(ざっと見て3つありました)。全ての意味をチェックした分けではないですが、少なくとも"I wish for you"という言葉は音楽界では割とポピュラーなようです。元記事の方は何をどう検索されたのでしょうかね。

さて、話がここまでで終われば英語というのは楽なのですが、実はこれで終わらないのが英語の難しいところになります。次回(ヒマがあれば)日本人にとって英語の自動詞・他動詞の恐ろしさの例を紹介したいと思います。

2017-09-30 | コメント:0件

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